AIを活用した営業の未来について

2021年12月27日
オクスフォード大学でAI(人工知能)の研究をするマイケル・A・オズボーン准教授が、2013年に次のような論文を発表しました。「アメリカの総雇用者のうち47%が、AIにより仕事を自動化される可能性が高い」と。

また、日本に関しては2015年に、野村総合研究所が49%の仕事がAIで代替えできるというレポートを発表しました。

さて、AIは営業職から仕事を奪ってしまうのでしょうか。それともAIは営業を補完してくれるツールになり得るのでしょうか。この記事では営業とAIの関係について考えました。ぜひ、最後までご覧ください。

そもそもAIとは

AIは今、もっとも注目されている技術のひとつです。しかし、AIが「あらゆる問題に応えられるのか」といえば、現段階ではそのレベルに達していません。あらゆる課題に対応できる汎用的なAIの実現は研究者の目標ではありますが、まだ、AIは発展途上にあります。

AIにもさまざまな世代があり、現在のAIは第三世代です。第一世代のAIは、知識を使って推論や検索が可能なモデルです。第二世代になると自ら学習する機械学習を取り入れたAIになります。そして、第三世代のAIは、人間が介在しなくても自律的にルールを学習し判断する、ディープラーニングを取り入れたAIです。

現在のAIは、第一世代から第三世代の仕組みを組み合わせて使われています。

AIの得意なこと・苦手なこと

AIの精度は第三世代のディープラーニングで飛躍的に高まったといわれます。しかし、少なくとも現段階でAIは万能ではありません。ここではAIの得意なこと・苦手なことをまとめました。

AIの得意なこと

AIの得意なこととしては、「データに基づく単純作業」「複数データの共通点抽出」「画像・音声データなどの分析」があります。

データに基づく単純作業

AIの一番得意なことは、インプットしたデータに基づく単純作業です。データ入力のような作業はAIで自動化しやすい分野です。また、AIに作業の方法を学習させれば、人間が行うより正確に処理ができます。

複数データの共通点抽出

複数のデータから共通点を抽出する機能もAIは得意です。たとえば、過去の商品の購入履歴から共通点を抽出し、顧客が次に求めている商品をおすすめする機能です。過去の膨大なデータから共通点を探し出すので、高い精度が期待できます。

画像・音声データなどの分析

AIはテキスト分析で、書かれた文書を要約したり、記事を作成したりすることも可能です。画像分析はディープラーニングにより実現されています。とくに顔認証の分野が進んでいます。音声データはスマートスピーカーにみられるように、音声認識で操作可能です。また、ある程度までは会話も可能です。

AIの苦手なこと

AIの苦手なこととしては、「クリエイティブなこと」「人の感情のくみ取り」があります。

クリエイティブなこと

AIはゼロからものを作ることはできません。最初は人がデータを与えて、学習させなければAIはものを創造することは現状ではできません。そのため、クリエイティブな作業は苦手といえるでしょう。

人の感情のくみ取り

人の感情をくみ取ることは、セールスパーソンにとっても欠かすことのできないスキルです。AIは受付のような単純な対応はできますが、人間の感情をくみ取った上でのコミュニケーションはできません。

AIによって営業職はなくなるのか?

電話をするセールスパーソン

「AIによって仕事が奪われる」という話があります。営業職についてはどうなのでしょうか。もちろん、営業職の仕事のうち、一部はAIにより自動化され、大きく働き方は変わると予想されます。しかし、営業職の場合はAIの活用が進んでも完全にはなくなりません。

営業職の仕事がなくならないのは、営業職が顧客の感情との対応が多い業務であるためです。前述のとおり、AIは人の感情のくみ取りが苦手です。営業の場面で、AIが顧客との会話の流れから感情を読み取って対応を変えたり、顧客からの信頼関係を構築したりすることは無理でしょう。

また、どんなに優れたAIが開発されても、顧客がコミュニケーションを求める以上、営業職はなくなりません。

AIツールと営業職の相性はよい

電話をするセールスパーソン

営業において、顧客への初回訪問から成約に至るまでの訪問回数と、成約率に密接な関係があることはよく知られています。また、優秀なセールスパーソンはリピーターによる売り上げも一定数あるものです。

そのような営業パターンは自然に身につけられています。そして、顧客に最適なタイミングで商品を提案でき、無駄が少ない営業パターンを自然に実行しているのです。

このような営業方法はAIと親和性が高く、パターン化が容易です。誰でも営業成績向上のパターンを身につければ、一定の成果を上げられるようになります。

優秀なセールスパーソンは自分なりの営業パターンが身について、営業成績を伸ばしているので問題ありません。

社内の大半を占める平均的なセールスパーソンに、AIは営業成績を上げるため、「どのタイミングで顧客を訪問したらよいか」「どんな文面でメールを送ったらよいか」などをアドバイスするようになります。このAIのアドバイスにより会社の営業全体のレベルアップが期待されます。

消えていく営業の仕事

営業職の仕事のうち、約7割が事務作業といわれます。事務作業とは提案資料の作成や見積書の作成などです。事務作業は、顧客との営業活動というコアの業務をこなしていく上で、欠かせないものです。優秀なセールスパーソンであっても、適切な事務作業ができなければ、成果を出すことはできません。

AIが進化すると、この事務作業をAIが代替するようになります。提案書の作成・見積書の作成などは、AIと少数のアシスタントでこなせるようになるでしょう。

残る仕事・なくなる仕事

ここまで、近未来に営業職はAIに仕事を奪われてしまうかについて、まとめてきました。まず、AIのこと、AIの得意なこと・AIの苦手なことについて紹介しました。次にAIにより営業職はなくなるかについて言及。

AIは人の感情をくみ取ることが得意ではありません。そのため、顧客とのコミュニケーションがある営業の仕事はなくならないだろうと結論づけました。

次に営業職とAIの相性についても触れました。AIが優秀なセールスパーソンの行動パターンを機械学習することで、企業は大きな効果が期待できると思われます。大部分の平均点のセールスパーソンも、AIから機械学習をしたセールスパターンのアドバイスを受けることで、成績を上げられるからです。

最後に消えていく営業の仕事では、機械学習やディープラーニングにより機械化しやすい事務作業を取り上げました。営業に限らず、どのような仕事でも定型的・反復的な事務仕事はAIが代替えをするようになると予想されます。事務所には少数のアシスタントとAIで仕事ができるようになるのです。

営業の仕事で消えていく仕事は事務作業です。残る仕事は顧客とのコミュニケーションの要素がある仕事です。しかし、今までわかりやすい提案書を作ることに長けていたセールスパーソンや、見積書を作ることが得意だったセールスパーソンは、これから生き残るために、AIに代替えできないスキルを身につける必要があります。

まとめ

AIはまだ進化の過程にあります。どこまで発展するかも未知数です。自然語言語処理を学習して人間と普通に会話のできるAIが登場したら、電話営業もAIに取って代わります。

人間と違って、AIには休憩時間が不要です。AIの時代において、AIにできないことは何か、自分の強みは何かを把握しておくことが大事です。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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