ナーチャリングとは。メリットから取り組むときのポイント・手法を解説!

2023年11月24日
コロナ禍以降、営業スタイルの見直しによって新規顧客の発掘や関係構築に苦労している企業も多いのではないでしょうか。さまざまな業界において「ナーチャリング」と呼ばれるマーケティング・営業手法が注目されています。そこで本記事では、ナーチャリングの概要から実施方法およびメリットについて解説します。

ナーチャリングとは

ナーチャリング(nurturing)とは、顧客との信頼関係を構築するためのマーケティング手法を指し、ビジネスでは「顧客育成」の意味で使われます。ニーズや興味に応じたアプローチを通じて、顧客との関係性を段階的に深め、購買や成約、リピートなど将来的な利益につなげるのが目的です。

ナーチャリングは顧客の対象によって、大きく3つに分類されます。ここでは、それぞれのパターンについて説明していきます。

見込み客のナーチャリング

まだ取引が始まっていない「見込み客」に対して、サービスや製品の購入意識を高めていき「新規顧客」の獲得につなげる活動です。営業活動や広告などで既に保有している顧客リストに対して、アプローチを仕掛けます。ビジネス用語で見込み客を「リード」と呼ぶことから、この活動を「リードナーチャリング」といいます。

マーケティング戦略において新規顧客の獲得は重要課題の1つであり、最もコストがかかるフェーズです。

既存顧客のナーチャリング

サービス・製品の購入や活用頻度が低い「既存顧客」に対して、自社(製品)への愛着や信頼を高めていき「優良顧客」になってもらうための活動です。上位モデル・高価格帯の製品へ誘導する「アップセル」や、関連製品との合わせ買いを促す「クロスセル」などを通じて、顧客単価のアップを目指します。

優良顧客のナーチャリング

購入頻度(リピーター)や累計購入金額の高い「優良顧客」に対して、自社との関係を長期的かつより強固にするための活動です。良好な関係を築き、他社への乗り換えを防ぐ目的もあるでしょう。「特典のプレゼント」や「限定品の案内」など特別感のある顧客体験を通じて、顧客ロイヤルティーの向上を目指します。

ナーチャリングが重要になった背景

近年のビジネス、とりわけマーケティング戦略においては、業界を問わずナーチャリングが重要視されています。本格的にナーチャリングに取り組む企業も増えており、未実施の企業でも検討中や興味関心がある経営者や担当者も少なくありません。

なぜこのようにナーチャリングの必要性が叫ばれるようになったのでしょうか。具体的な理由として挙げられる代表的な3つの背景について紹介します。

中長期的なマーケティング施策が不可欠

インターネットが普及した現在では、簡単に情報を収集できるため、顧客が自ら購入前に比較検討しています。無料トライアルの活用や口コミの確認をして、慎重に判断しているといえるでしょう。

このように、以前と比べると購入・契約に至るまでのプロセスは長期化し、競合他社との差別化も難しくなっています。そのため、企業には中長期的な視点で顧客に寄り添うマーケティング施策の立案が不可欠になりました。

つまり、段階的にアプローチを行うナーチャリングを通じて、顧客と良好な関係の構築が求められているのです。

顧客に合わせたアプローチが必要

現代社会は顧客の価値観・選択肢が多様化しており、興味・関心を引くプル型のアプローチが好まれています。「こういう情報が欲しかった」と感じさせるような有益な情報を発信し、顧客から選ばれる存在にならなければなりません。

ナーチャリングは、顧客の対象に合わせて行うので、個々の顧客に適したアプローチが可能です。さらに、顧客とコミュニケーションを重ねて信頼関係を構築し、潜在的な需要を把握しやすい点もナーチャリングが重要な理由と言えます。

対面営業の機会減少

コロナウイルスの流行や働き方改革の実施により、主流であった対面営業の機会が減少傾向にあります。リモートワークが推進されるなか、デジタルを活用した営業スタイルの抜本的な見直しも必要になりました。

接点の機会を作るために、従来の方法以外にもSNSやセミナーなどを有効的な活用も求められています。そのため、これまで以上に見込み客の発掘・獲得の価値が高まっており、ナーチャリングに取り組む重要性が上がっているのです。

参照:5割超の「対面営業ができない」企業がデジタルに走る理由とは

ナーチャリングのメリット

実際にナーチャリングに取り組むとどのようなメリットがあるのでしょうか。

主なメリットとしては以下の3つが挙げられます。

  • 営業活動を効率化できる
  • 休眠・離脱顧客を掘り起こせる
  • 顧客単価の向上につながる

それぞれ順番に説明していくので、参考にしてください。

営業活動を効率化できる

ナーチャリングは、セグメント分けした(購入回数・性別など)顧客に対して、一斉にアプローチするのが特徴です。そして、見込み度合いがある顧客にのみアプローチを続けます。

A製品を紹介したメールを送った場合を例に見てみましょう。

  • メールを開き広告をクリックした顧客X:A製品もしくは関連する製品に興味がある
  • メールを開かなかった顧客Y:現在はA製品に興味がない

→顧客Xのみにさらなるアプローチを実施

このようにナーチャリングを実施すれば、顧客の興味関心や行動が可視化されるため、最適なタイミングで営業できます。

休眠・離脱顧客を掘り起こせる

休眠・離脱顧客へのアプローチは、営業担当者の個人的な記憶や印象に頼る場合が多く、優先順位も低くなりがちです。しかし、ナーチャリングは顧客情報をまとめて管理し一斉に行うため、離脱顧客や失注案件の掘り起こしが容易にできます。

例えば、商談が無効になった失注案件や休眠顧客に対して、価格の見直しや新機能といった情報を提供すると、商談が成立する可能性もあるでしょう。また、過去にやりとりや利用経験があれば、新規で営業する場合も効率的で成約率の高い顧客にアプローチできると言えます。

顧客単価の向上につながる

顧客単価の向上につながる点も、ナーチャリングのメリットです。サービスや製品に複数のプランがある場合、もっともコストがかからないプランを選択するのが一般的で、顧客自ら高価格帯を変更するケースはほとんどありません。

そのためナーチャリングによって、具体的な機能や有用性、メリットをわかりやすく丁寧に発信すれば上位プラン(高単価)への切り替えが期待できます。

ナーチャリングを行うときのポイント

闇雲にナーチャリングを実施すると、うまくいかないままコストや時間だけを消費してしまう可能性があります。期待する効果を得るためには、ポイントを押さえた施策の実施が重要です。ここでは、ナーチャリングを行うときに注意すべきポイントを4つ紹介します。

目的の明確化

ナーチャリングの目的は、以下のように大きく2つに分類できます。

【顧客との接点の強化】

顧客の購買意欲が十分に高まるまで適切なコミュニケーションを取り続け、自社サービス・製品を確実に認知してもらう

【購買意欲の醸成】

顧客が認識している課題を解決できるような自社サービス・製品の強み・独自性、他社との違いなどアピールする

当然ながらどちらに注力するかによって必要なアプローチが異なるため、ナーチャリングを行う前に目的を明確にするのは非常に重要です。

顧客分析

効果的なナーチャリングを実現するためには、顧客を深く理解しなければなりません。顧客が抱えている課題やニーズに応えられるような情報を提供しない限り、購入を検討しても商談につながらないからです。

代表的な顧客分析の手法としては、以下のようなものが挙げられます。

分析手法概要
RFM分析顧客を「Renency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の指標に基づき分類する
CPM分析顧客の購入傾向(頻度・回数など)をもとに分類する
デシル分析顧客を売上額に応じて顧客を10個のセグメントに分類する

これらの分析手法を用いて、ナーチャリングを行う顧客対象を明らかにするとともに、どのような課題を抱えているか整理するといいでしょう。

口コミ・事例を入れたコンテンツ作成

ナーチャリングでは「口コミ」「導入事例」といったコンテンツ作成が鍵を握ります。基本的に顧客は売り手を警戒しているため、心理的ハードルを乗り超えて信頼を得なければなりません。つまり、サービス・製品の特徴やメリットの説明だけでは不十分と言えます。

そこで、実際に購入・利用した顧客の声をコンテンツに盛り込むのです。信憑性や説得力のある情報は、コンテンツに信頼感が生まれ顧客の警戒心を解きやすくなるでしょう。

部門間の連携強化

ナーチャリングはマーケティング部門と営業部門の協力はもちろん、他部門とも連携を図り組織的に取り組まなければなりません。綿密な連携を取ることで顧客の引き継ぎがスムーズに進み、タイミングを逃さず適切なアプローチができます。さらに、営業効率や成約率の向上にもつながりやすく、より多くの成果を得られる可能性が高まります。

ナーチャリングに有効な手法

ナーチャリングの手法は多岐に渡っているため、それぞれの特徴を理解することが大切です。また、投入できるリソース・予算とも相談のうえ、手法を使い分ける必要もあるでしょう。ここではナーチャリングに有効的な手法を5つ紹介します。

メールの配信

ナーチャリングでもっとも利用されている手法がメールです。他の手法と比較してもハードルが低く実績もあります。また、効果測定を行いやすい点も魅力的です。

メールを用いたナーチャリングには複数の方法があるため、以下にまとめました。

手法概要
ステップメールあらかじめ用意したシナリオを顧客に合わせて段階的に配信していく方法。顧客がサービス・製品の理解を深め、つながりを強化していく。
セグメントメール顧客を属性(性別・業界など)ごとに分類し、属性に適したコンテンツをメールで配信する方法。対象がピンポイントになるため、反応率に期待できる。
メールマガジンサービス・製品に関する最新情報や役に立つ内容をメールで定期的に配信する方法。情報の質が良ければ顧客の興味・関心を高められる。
ダイレクトメールハガキやカタログなど紙媒体による資料の送付。BtoCマーケティングではニーズがあると考えられている。

SNSの活用

近年急速に増え、注目を集めているのがSNSの活用です。コメントやDM、また「いいね」など気軽にリアクションができ、ユーザーとの距離が近くなるのが特徴です。またSNSは拡散力が高いので、新規顧客にも情報が届きやすく認知度やブランディングの向上が期待できます。

多くのSNSは無料でアカウントを開設できますが、プラットフォームによって特徴が異なるため、自社に合ったSNSを選びましょう。

主なSNSのプラットフォーム

  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • Facebook
  • TikTok

ホワイトペーパーの作成

ホワイトペーパーとは、顧客に有益な情報をまとめた説明書(カタログ)をいい、見込み客に効果のある手法といわれています。資料請求の問い合わせがあった際やホームページからダウンロードしてもらうような形で活用するのが一般的です。

競合製品との違いや見込み顧客の抱える問題を解決できるような内容を伝えられるかが重要です。

セミナー・ウェビナーの開催

セミナーやウェビナーへの参加はハードルが高いため、参加する顧客は自社製品・サービスに対して高い関心を持っているケースが多いです。そのため、有益な情報を提供すれば購買意欲を一気に高められるでしょう。

また、質疑応答や直接的なやりとりなど双方向のコミュニケーションが成立しやすいので、自社に対する信頼や安心感も与えられます。

Web行動のトラッキング

Web行動のトラッキングとは、自社ホームページへの流入経路や閲覧履歴・訪問ページなどを追跡する、自社内で行う分析活動です。トラッキングによって、顧客が何に興味を持ち、どのような情報を求めているかをリアルタイムで把握できます。

それらを参考にホームページの構成変更や商品開発といった施策を打ち出せば、顧客との関係を深められるでしょう。

まとめ

ここまでナーチャリングの概要からメリット、実施するときのポイントについて紹介してきました。情報技術の発展や時代の流れによって、消費者行動も刻々と変化しています。時代に乗り遅れないためにも、他社との差別化や顧客心理を理解したナーチャリングが必要になるでしょう。

その一方で、ナーチャリングの実施を検討しているものの、自社でうまくいくか不安に感じている担当者も多いのではないでしょうか。ビアブロスは営業活動のおけるさまざまな悩みの解決に導いており、導入企業の多くが大きな成果を実感しています。ぜひ参考にしてください。

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